国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

紫紙金字金光明最勝王経 竜光院

高野山の名宝Ⅱ期で最後に見た国宝は紫紙金字金光明最勝王経である。紫に染められた紙に金字で書いた経は各寺院にも国宝・重文に指定されているものが数多ある。聖武天皇の詔で建てられた国分寺、国分尼寺の塔に安置された経典で、鎮護国家の象徴として各地に…

凍雲篩雪図 浦上玉堂筆

岡山県立美術館の雪舟と玉堂展で出会った凍雲篩雪図が京の国宝として登場。浦上玉堂は絵画と七絃琴の技術を武器に50歳を過ぎてから江戸・京・大坂・信濃などを放浪していたことで知られる。凍雲篩雪図も全国各地で見てきた風景を元に制作されたのかもしれ…

夜色楼台図 与謝蕪村筆

風神雷神図屏風とは打って変って静寂な国宝が夜色楼台図である。賑わいと活気だけが京都の魅力ではなく、静まり返った雰囲気も京都である。市中に大寺院が多く建ち並ぶ中に、一般人も暮らしている。それを雪と屋根で表した。図内にはゆっくりとして時間が流…

細字金光明最勝王経 竜光院

竜光院の経典祭りは大字法華経と対極をなすように細字金光明最勝王経も展示してあった。こちらは細かな字でびっしりと文字を書き記している。情報をより多く伝えるための微細化は日本人が得意としており、工業分野でも世界を一歩リードしている。仁和寺の三…

風神雷神図屏風 俵屋宗達筆

京博で有名な寄託国宝と言えば風神雷神図屏風。もはや京のイメージを超えた江戸時代の日本を代表する絵となっている。オリエンタルで絢爛豪華、黄金の国・ジパングと思われていた時代の作品が現在でも一級品として残っている。いぶし銀となっている部分も計…

松に秋草図屏風 長谷川等伯筆 智積院

狩野永徳対長谷川等伯の国宝対決。結構の頻度で共演しているが、等伯は智積院のものが登場。東京なら松林図となるのだろう。 レア ★☆☆ 観たい ★☆☆ 前期 tsumugu.yomiuri.co.jp

大字法華経 竜光院

高野山は修行の場であるため市井とはかけ離れた山の中に存在している。鉄道や道路事情がよくなったため、観光しやすくなったとはいえ、「高野山に行く」という目的以外に訪れる人は皆無である。 コロナの影響で観光客は激減し、100年に1度の規模で開催さ…

花鳥図襖・琴棋書画図襖 狩野永徳筆 聚光院

コロナで開催が遅れに遅れた京の冬の旅で訪れた聚光院に複製画があった。すべて寄託されたので、現地では観ることは困難となった(そもそも聚光院に入るのも困難だが)。一方で寄託されたことで博物館や美術館での展示機会が増えるメリットもある。雰囲気は…

山水図 雪舟筆

個人蔵の雪舟作品の国宝。個人とは言いつつ大原美術館(大原家当主)の理事長が所蔵している。雪舟没後に賛が書かれていることから、作成年で死去したことが確認できる重要な資料となっている。死ぬ間際に描かれたとは思えない作品である。 レア ★☆☆ 観たい …

五大力菩薩像 有志八幡講

4月以来の高野山。雨の中の桜を堪能したのが、つい先日のことだと思っていたが時の流れは年々早くなっている気がする。時を支配することはできないが、時を感じることができる。写真には写っていないがすぐ横に六時の鐘がある。同じ時間を知ることで人々に…

天橋立図 雪舟筆 京都国立博物館

冬に岡山県立博物館で開催された雪舟と玉堂展では展示されなかった唯一の雪舟の国宝作品が天橋立図である。巨大な鳥観図はじっくり観たくなる作品のひとつ。現在でも使えそうなぐらい精密に描いている部分とデフォルメした部分が混在しているのも見どころの…

竹斎読書図 伝周文筆 東京国立博物館

京都・相国寺の画僧・周文が描いたとされる水墨画。周文は雪舟の師匠と言われており、寺院では周文作と伝わっているものも少なくない。夏珪や馬遠など南宋の画家の影響を受けた作風で、山水画を得意としている。南禅寺の禅僧が所有して6名の僧に賛を書かせ…

古林清茂墨蹟 月林道号 長福寺

1964年10月10日。日本は晴天だった。 ある年齢以上の人はもちろん、その後に記録映画やTV映像を観た人、いだてんを観た人など、オリンピックの開会式と言えば快晴の国立競技場を思い出す。最近のオリンピックの開会式はアメリカのTV放送に合わせる…

柴門新月図 玉畹梵芳等十七僧賛 藤田美術館

作られた年代がはっきりしている中では最古の詩画軸。序文に「応永十二年」(1405年)と書かれている。友へと宛てた寄せ書きで、600年前から風習があったことが分かる。禅僧には詩文の才能が必要だったようで、墨蹟とともに禅文化として楽しみたい作品で…

阿弥陀三尊像 清浄華院

清浄華院は京都御所の東隣で、南側は廬山寺と接している。円仁が宮中に禁裏内道場として建立されたのが始まりである。天台宗山門派と宮中をつなぐ重要な拠点である。阿弥陀三尊像は数少ない南宋仏画の中でも優れた作品。普段から国立博物館に寄託されている…

絵因果経 上品蓮臺寺

※写真は龍谷ミュージアム「開館10周年記念 館蔵品展」で撮影した鎌倉時代の絵因果経の断簡 仏教の開祖は釈迦牟尼である。王族の生まれで、生まれてすぐに右手を上に、左手を下に向けて「天上天下唯我独尊」と言ったと語られている。これらの釈迦の伝記を誰…

玄奘三蔵絵 藤田美術館

2017年よりリニューアル工事(全面的な建て替え)のため休館していた藤田美術館が2022年4月にオープンする。すでにカフェ部分などの一部は開いているが、美術館部分は未だ見れず。旧館の名残がどれだけあるかなど、必ず行きたい美術館となっている…

法然上人絵伝 知恩院

昨年、9年の歳月をかけた御影堂の改修工事を終え、大々的な落成法要が行われるはずだった知恩院。その開祖である法然上人の一代記を絵巻物にした。子供でも理解されやすい絵解きは誰にでも救いを差し伸べる浄土宗の教えに合った国宝である。 レア★☆☆ 観たい…

阿須賀神社伝来古神宝類

東京2020オリンピックの「2020」は映画配給会社の20世紀フォックスや鳥取の20世紀ナシと同じ記号の意味で使われ続けている違和感を覚えつつ、京博のオリュンピア×ニッポン・ビジュツ展を観に行った。 コロナがなければオリンピック開催1か月前…

病草紙 京博

東博で行われた鳥獣戯画展には行くことができなかった。鳥獣戯画は漫画の原点と言われているが、病草紙はギャグマンガの原点かもしれない。グロテスクな構図でも現実を超越する表現となっており、ユーモラスな絵に仕上がっている。 レア★☆☆ 観たい★☆☆ 通期・…

平家納経 厳島神社

大河ドラマ「平清盛」が放送されてもうすぐ10年となる。大河ドラマシリーズ生誕50周年記念作品で、展示会でもこれにちなんだ企画が各地で行われた。その時に目玉として平家納経は大活躍。33巻あるので公開する機会ごとに展示していたように思えた。美装さ…

日本書紀 巻第二十二  京都国立博物館

奈良博で行われている「聖徳太子と法隆寺」展は今週末を以って閉幕し、東京へと会場を移す。 前期に行ったときは空いていてとても見やすい環境だったが、後期に訪れると行列ができていた。会場内にも多くの来場者が来ていた。正倉院展ほどではないまでも、久…

釈迦如来像(赤釈迦) 神護寺

神護寺では毎年、ゴールデンウィーク期間中に寺宝の虫干しをする。その機会に寺宝を公開する曝涼展が行われる。伝源頼朝像や潅頂暦名など歴史的一級資料がガラス越しでなく目の前で見ることができる貴重な機会となっている。ただ、コロナの影響で2年連続公…

十二天像 京博

十六羅漢像は単独や2幅(コンビ)など少数精鋭の展示が多いように感じる。一方で、十二天像は4幅ぐらいのユニット展示が多い気がする。十二天のそれぞれの役割が個別ではなくユニットとして成立するためかもしれない。 レア★☆☆ 観たい★☆☆ 通期・4幅ずつ前…

木造薬師如来立像 、木造伝衆宝王菩薩立像 、木造伝獅子吼菩薩立像  唐招提寺

唐招提寺の新宝蔵は奈良時代から室町時代にかけての寺宝が展示されている。そのほとんどが重要文化財である。この重文から令和元年に国宝へと指定替えを受けたのが奈良時代制作の木造立像たちである。 平安仏像でもなかなかお目に掛かれないが、奈良時代なら…

十六羅漢像 東博、清凉寺

東博の十六羅漢像は本館での通常展示にも出品されることもあり、観る機会は多い。ただ、16名のどれを観たかと言えば覚えていない。推しメンのいないアイドルグループを見ているのと同じ感覚で観てしまう。 レア★★☆ 観たい★☆☆ 後期 1幅(東博)、8幅(清…

太刀 銘久国

久国は3年前の2018年に京都国立博物館で行われた京のかたな展でも出品されていた。京都の三条大橋付近にある粟田口で作られた刀で、正真正銘メイドイン京の作品である。 レア ★☆☆ 観たい ★☆☆ 通期 tsumugu.yomiuri.co.jp

鑑真和上坐像

鑑真和上坐像は亡くなられた6月6日と前後の5日・7日のみに公開されるレア国宝彫刻である。京博へ出かけられていたが、この開山忌には唐招提寺に戻っておられた。 ただ、京博への出張が実現した一つの要因は御影堂の改修工事があったからだ。工事中のお堂…

宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱 仁和寺

空海所縁の品である三十帖冊子が散逸しないように、それを入れる専用の箱が作られた。宝相華迦陵頻伽蒔絵といかにも豪勢なネーミングだが、見ると黒漆の下地がデザインを引き締めており派手に感じない。ただ、当日してはここまでデザインに凝った箱はなかっ…

三十帖冊子 仁和寺

平成の修理を終えた三十帖冊子は毎年どこかの展示会へ出品されている。30冊あるので同じものではないにしても、結構な頻度での登場となっている。この冊子の所有権について真言宗内で争いがあったということも、京の国宝に相応しい逸話である。 レア ★☆☆ 観…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。