国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

玳玻天目茶碗 相国寺

岡崎公園にある京都市京セラ美術館から歩いて行けなくもない相国寺。京都御所の北側にあるので、丸太町通に沿って、御所につけばそのまま通り抜ける形で北上すれば着く。相国寺所有の国宝・玳玻天目茶碗は松江藩の松平不昧が旧蔵していたものである。玳玻盞 …

三十帖冊子 仁和寺

修繕から復活した三十帖冊子は東博での一挙公開以降、徐々に公開範囲を広げている。その一環で京都市博物館での「京の国宝」で展示される。続けて、秋の仁和寺宝物特別公開でも見ることができる。ただ、30冊もある中のひとつかふたつなので、東博の30冊一挙…

御堂関白記 陽明文庫

御堂関白日記は藤原道長本人直筆として知られ、直筆日記では世界最古である。日記なので写経のように専門家が執筆した美しい字ではなく、個性的な文字で書かれている。他人に見せるために書いたのではなく、後世の子孫たちの参考になればと書き綴った。必要…

木造二十八部衆立像のうち 婆藪仙人 妙法院 (三十三間堂)

婆藪仙人は二十八部衆の中で一番人に近い。単なるおじいちゃんと言ってもよいフォルムである。三十三間堂の二十八部衆は千体千手観音の圧倒的な物量と両端の風神雷神の迫力により見た記憶があまりない。その中で、一番人に近い婆藪仙人はインパクトが非常に…

木造梵天坐像 教王護国寺

京への入り口を守る寺院は東寺と西寺である。西寺は今は見る影もないが、東寺は平安時代から今日まで京を守護し続けている。ただ、鉄路は東寺の北に駅を作ったため、現在の感覚では東寺は京都の入り口にあるとは想像しにくい。(出口のイメージある) おそら…

鞍馬寺経塚遺物 鞍馬寺

毘沙門天像が奈良へお出ましになった鞍馬寺。国宝はそれだけではない。山奥にある鞍馬寺は古くから修験の場所として活用されてきた。そこには源義経も在籍していた。そして、その修行が人とは思えない鍛え方だったためか、天狗伝説が生まれる。 天狗が住むと…

明月記 冷泉家時雨亭文庫

東京遷都で平安以来の貴族たちは天皇とともに江戸へと下った。その中で、京を任されたのが冷泉家。いまでも京都御所の北側にある同志社の校舎に囲まれるように冷泉家の敷地が残っている。春秋の京都特別公開などの企画で一般公開されることがあり、歴史的な…

伊能忠敬関係資料のうち琵琶湖図 香取市伊能忠敬記念館

2020年は京都市美術館が京都市京セラ美術館へと生まれ変わる記念の展示会が目白押し。京都市が京セラからネーミングライツで得た資金をもとにリフォームされた美術館にふさわしい特別展が開催される。 再生された美術館で行われる展示会としては最高のライン…

趙子昂書 与中峰明本尺牘 静嘉堂文庫

趙子昂は南宋末期から元にかけての文人画家。宋皇帝一族にも関わらず、元に仕えた。王羲之の書を学び、唐以来の伝統な画風を会得した。モンゴルの遊牧民が王朝を作ったことから、文化的素養を受け入れるうえで趙子昂は高い地位を得た。そんな趙子昂が禅宗の…

太刀 銘包永 静嘉堂文庫

静嘉堂文庫では過去に日本刀だけの展示を開催している。その目玉の一つが同館が保有する国宝の包永だった。手掻包永とも言われ、大和の刀工、手掻(転害、天蓋)派の祖である包永が打った太刀である。包永は鎌倉時代に東大寺の門前に住んでいたようで、慶派…

紙本墨画禅機図断簡 因陀羅筆 静嘉堂文庫

断簡界のスーパースター。因陀羅筆の禅機図は分割され、その5つがバラバラに国宝指定されている。古筆の手鑑のように断簡を収集して、集めたその中身が素晴らしいので国宝になったものや、断簡にはなったもののそれ単独でも価値のあるものが指定を受けるこ…

絹本墨画淡彩風雨山水図 伝馬遠筆 静嘉堂文庫

南宋の宮廷画家、馬遠は水墨による花鳥や山水を写実的に描く。南宋四大家の一人に数えられる。本作は馬遠の真筆ではない可能性があるが、素晴らしい作品であることは間違いない。室町期の日本水墨画界が大いに発展につながる作品である。 レア ★☆☆観たい ★☆☆…

紙本金地著色源氏物語関屋及澪標図 俵屋宗達筆 静嘉堂文庫

mimt.jp 東洋文庫の国宝は先週紹介した。 つづいては静嘉堂文庫の国宝を紹介する。 まずは俵屋宗達筆の紙本金地著色源氏物語関屋及澪標図。出品国宝のなかでは 一番大きなもので、国宝指定を受けた俵屋宗達作品3つの内の一つである。 宗達といえばすぐに思…

史記 東洋文庫

司馬遷により編纂された史記。中国の歴史を知る上では一級品の書物である。日本でも元号の出典として12回採用されたほど、古くから読まれている。東洋文庫所有の物には高山寺の朱印が押されている。 レア ★☆☆観たい ★☆☆ www.toyo-bunko.or.jp

春秋経伝集解 東洋文庫

春秋経伝集解は儒教経典である春秋の注釈本。本書は平安時代、清原頼業が明経道博士家に学び受けた原本となる。頼業による訓点があり、本文、訓点ともに院政時代、明経道博士家の学問のあり様が分かる貴重な資料。歴代明経道博士家の基本となる明経点の祖と…

毛詩 東洋文庫

中国の官僚登用試験である科挙には詩を吟じる才能も査定される。明治時代の官僚や財界人も文化的素養が求められていて、茶の湯や詩などの集まりを通じて色々な議論が交わされていたようだ。 毛詩は詩経の異称で、焚書により毛さんが伝えたものだけしか残って…

古文尚書 東洋文庫

今夏、三菱財閥誕生150種年を記念した展示会が開かれる。 mimt.jp そこでは、三菱系美術館が保有する国宝12点がすべて展示される。東洋文庫と静嘉堂文庫の国宝をおさらいしておく。 古文尚書は中国古代の歴史書で、日本ならば古事記や日本書紀にあたる…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。