国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

【京都名品展】小葵浮線綾文様衵 熊野速玉大社

染物エリアは、一式指定の熊野速玉大社のものが出品。 熊野信仰の総本山、熊野速玉大社へ寄進された名品の数々。最近、いろいろな博物館で陳列しているので観る機会が多い。今回の京博でも寄託している名品が出品。 文化財になった場合、保管をきっちりでき…

【京都名品展】古林清茂墨蹟 月林 長福寺

古林清茂は元時代の禅僧で、その門下には了庵清欲、竺仙梵僊、日本の月林道皎、石室善玖などを輩出した名伯楽である。俗姓が林だそうで、「はやし きよしげ」と読めば親近感がわくが、古がついて「くりん せいむ」と読むようだ。 名伯楽は弟子たちに多くの書…

【京都名品展】禅院額并牌 東福寺

禅寺は簡素な生活で修行を積む中で、いろいろな教育を受ける。その一つは書である。いまご朱印ブームで、寺院は勿論神社などでも墨で書かれた朱印を授けている。もともとは写経を収めた証明的なものだったそうだが、いまやスタンプラリーの代わりになってい…

【京都名品展】菩薩処胎経 知恩院

知恩院の御影堂の大修理が今年ようやく終わり、1年かけて仏具荘厳の搬入や堂内設備工事などがあり、来年4月に晴れて落慶法要が行われる。この御影堂は国宝で、国宝建築は改修ラッシュで、東西の本願寺や二条城、滋賀の延暦寺、奈良の薬師寺東塔などあちこ…

【京都名品展】宗峰妙超墨蹟 開山 妙心寺

力強い「開山」の字。禅寺に掲げるにふさわしい墨跡。臨済宗の僧・宗峰妙超こと大燈国師が起毛した。宗峰は花園上皇や後醍醐天皇などの帰依を受けた。大徳寺を開山したことでも知られ、南北朝時代を渡り歩いた。藤原家を支えた旧京都の仏教勢力と違う、新興…

【京博名品展】後嵯峨天皇宸翰消息

東博での仁和寺展で見たものと再開。天皇の直筆である宸翰で、それを手紙として出したものが消息。天皇から直接お手紙をもらったら、末代までの家宝にするだろう。にもかかわらず、ほとんど残っていない。まず、天皇自身が書くことが珍しい。明治以降の天皇…

【京博名品展】後鳥羽天皇宸翰御手印置文

手形付の天皇の書。 天皇は日々多くの付き人を従えて生活しているはず。その人々が見ている中で、後鳥羽天皇が両手に朱肉をつけて、書に押し付ける風景は権力と程遠い。玉璽を押すの違い、自ら望まない限り完成しない御手印。しかも両手。よほどの思いが詰ま…

【京博名品展】法華経巻第七(運慶願経) 真正極楽寺

書や仏教の展示で経典が陳列されていることがよくある。そして、ご多分に漏れず意味も分からず、読み砕くこともできないので、ほとんどの場合は文字を眺めて終わる。その時の感想は決まって「うまい文字を書くものだな」。で、その文字は専門の職人がいるこ…

【京都名品展】古今和歌集(曼珠院本) 

カラフルな色紙に書かれた古今和歌集。こちらも藤原行成筆の可能性があるようだが、伝承などに残っていないので作者不明。 京都の北東にある曼珠院は比叡山と御所の間にある。御所からはちょうど鬼門の位置にあり、近くには修学院離宮や赤山禅院などがある。…

一字蓮台法華経 龍興寺

奈良博でも夏休みに合せて企画展を実施している。どうぶがモデルの美術品を集めたいのりの世界のどうぶつえんは子供たちも多く来ていた。ただ国宝が地獄草紙や地獄草紙、辟邪絵とトラウマになりそうな絵があり、囲ってみたい人だけに見せる配慮をしていた。 …

【京博名品展】書巻(本能寺切) 藤原行成筆

三蹟の一人、藤原行成の書で国宝は3点。東博の白楽天詩巻と正木美術館の後嵯峨院本の白氏詩巻、それと今回出展の本能寺所有の書巻である。 最初の2つは平安貴族に好まれた白居易の詩文を独自の書風で書いたもの。それに対して書巻は雲母刷のある唐紙に菅原…

【京都名品展】灌頂歴名 空海筆

メモ帳などに執る覚書。清書する前の走り書きが国宝になる。それが書の名人である空海のものだと当然だろう。 灌頂を受けた人のメモで、かなりの走り書き。書の名人で様々な書体を使い分けることができる空海。だが、素の空海が書いた文字なので人間性が出て…

【京博名品展】大般若経 太平寺

書籍エリアの展示はすべて国宝。しかも掛け値なしの名品と展示の少ない貴重国宝で固めている。 大平寺の大般若経は長屋王が発願して作った経典。長屋王とは、天武天皇の長男である高市皇子の皇子で、天皇の孫にあたる嫡流筋の人物だ。しかし、藤原家との対立…

【京博名品展】秋景・冬景山水図 金地院

日本には四季があった。最近は暑い夏の後、すぐに冬が来て、ゲリラ豪雨の梅雨が明けると夏が来る三季になりつつある。せめて絵の中だけでも四季を感じたい。それを留めたのが金地院所有の秋景・冬景山水図だ。 夏は久遠寺が所有し、春は失われた。3幅すべて…

【京博名品展】山水図 李唐筆 高桐院

今回の京博の企画展では、雪舟作品は展示されていない。日本の水墨画の大巨匠で、前回の国宝展前期には「国宝6点すべてみせます」と大々的にPRに使われていた。しかし、雪舟の画風は亜流に見える。極端な強調表現と軽やかな筆使いの部分を使い分け、コン…

【京博名品展】十六羅漢像 清涼寺

国宝展では清涼寺の十六羅漢像の十六幅すべてを展示していた。今回は2幅のみ。 十六羅漢といえば、最近の京都の非公開では大寺院の山門に登る企画がある。大きな伽藍を持つ寺院の巨大山門を登った中腹部分にある楼上内陣には天井壁面画とともに仏像彫刻が安…

【京博名品展】孔雀明王像 仁和寺

密教特有の明王である孔雀明王。孔雀が毒虫や毒蛇を食らうことから、邪を払う象徴として明王の眷属となった。日本にも596年に新羅より輸入した記述が残っており、貴族のペットとして重宝されていたようだ。 普段見る明王たちが厳つい感じで描かれることが…

【京博名品展】阿弥陀三尊像 普悦筆 清浄華院

1階入り口から一番遠い奥の小部屋で渡来図を展示している。 渡来品の質が最高潮に達したのは室町時代。九博の室町将軍展でも渡来品を日本風にアレンジして鑑賞していたことが分かる展示があった。日明貿易の天龍寺船で得たものを愛でる。東山文化の誕生であ…

【京博名品展】五智如来坐像 安祥寺

ここ2年ほど京博に鎮座している安祥寺の五智如来像。この間に国宝へと昇格し、一部は新国宝指定のお披露目で東博まで出張展示。晴れで京博で5体そろい踏みの展示となった。令和最初の国宝指定の彫刻だが、すでに別の国宝指定も誕生しており、新鮮味はない。…

【京博名品展】四天王像のうち多聞天立像 浄瑠璃寺

1階へと移るとまずは彫刻ゾーンへ。そこには浄瑠璃寺の四天王像がある。 浄瑠璃寺は木造阿弥陀如来坐像9体が有名。観無量寿経の教えにある九品往生を基づき、平安時代中期の藤原家全盛期には様々なお寺に座像が寄進されたようだ。ところが応仁の乱を筆頭に…

【京都名品展】夜色楼台図 与謝蕪村

夜色楼台図のしんしんと降り積もる雪解景色はいつみても大晦日、除夜の鐘がなる前の厳かな感覚に陥る。年始の準備で賑やかだった日中から、夕方ごろより降り出した雪の演出にもあり一気に変化したそんな風景に感じてしまう。この絵を見ているとユニコーンの…

【京都名品展】花鳥図襖 狩野永徳

大徳寺の塔頭寺院、聚光院にある襖絵。数年前に聚光院で狩野永徳筆の福間絵を公開したことがある。寺院自体の公開もほとんどない中で、すべて本物をはめ込んだもので、当分見ることができない企画だった。 そんな特別な公開イベントではなく、襖絵のみの公開…

【京博名品展】風神雷神図屏風 俵屋宗達

日本美術のキラーコンテンツで、俵屋宗達の風神雷神図屏風。誰が観ても金箔のゴージャスさと風神雷神達の浮遊感と間抜け面でインパクト大の作品だ。 墨による雲の描き方がたらし込み手法が特徴で、自然に任せた仕上げが、まさに神の手として絶妙のスパイスと…

類聚古集 龍谷大学

龍谷の至宝展は龍谷大学380周年記念の展示会。西本願寺の向かいにある龍谷ミュージアムで行われている。入場料金が企画展の価格500円と安いにも関わらず、大谷探検隊が収集したものや西本願寺から龍谷大学へ所有が変わっている秘蔵の品が陳列されている。 な…

【京都名品展】釈迦如来像(赤釈迦) 神護寺

今回の寄託名品展では神護寺所有の国宝が多く出品している。ゴールデンウィークに神護寺で行われる虫干しの定番ばかりだが、博物館で観るのもなかなか良い。虫干しだとガラスのない直接に観ることができて、つい手を合したくなるが、ライティングは博物館の…

【京都名品展】伝源頼朝、伝平重盛

二階の肖像画エリアは神護寺の伝源頼朝像と伝平重盛像。人気の作品で、五月のゴールデンウィークには虫干しのため、神護寺で観ることが出来る。 普段は京博に寄託されていて、肖像画の名品であることは間違いない。ただし、この肖像画が足利尊氏と直義兄弟で…

【京都名品展】金銀鍍宝相華文経箱 延暦寺

これまた藤原道長関連の箱。長元4年(1031)に円仁がかつて書写した如法経を銅筒に納めなおし、横川の如法堂に埋納した。その際、藤原道長の娘、上東門院彰子もこれに結縁して自ら書写した法華経を埋納した経箱である。 箱は銅製鍛造で、隅丸長方形で弁当箱…

【京都名品展】金銅小野毛人墓誌

小野妹子の子の墓誌。江戸時代に発見された。短冊状の短いものだが、これが見つかったことで、小野家の歴史が確実にあったことが証明された。聖徳太子とは真逆で実在したことが分かり、日本史が明文された動かぬ証拠が目の前で観ることができる貴重な品だ。…

【京都名品展】金峯山寺経出土品

京博三階は陶器と考古のゾーン。陶器は国宝指定が少なく、今回は展示がない。考古は単立の展示什器に六点展示している。 その内、三点が金峯山寺経出土品だ。金箔を貼った経箱は色々な願いを埋めて祈念したもの。少し青銅部分が現れている部分もあるが、概ね…

【京博名品展】金銅藤原道長経筒

京都国立博物館でICOM京都大会記念の寄託名品展が開催されている。 一昨年の国宝展と肩を並べるラインナップで開催している。一ヶ月と短いため、入れ替えがないので、みたい国宝はハントしやすい展示会となっている。 藤原道長の経筒は吉野の金剛峯寺から出…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。