国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

【醍醐寺】大日経開題 弘法大師筆 

真言宗の宗主者である空海。かなりファンタジー寄りの主演映画も現在公開されている。この前まで東博で開催されていた仁和寺も真言宗で、この宗派の寺宝の多さには驚かされる。 そんな中でも空海の自筆の書は派閥形成にはなくてはならないアイテムだろう。醍…

【醍醐寺】訶梨帝母像

霊宝館に入館するとき、この秋と冬に醍醐展がサントリー美術館と九州国立博物館で開かれるお知らせパンフレットをもらった。そこには訶梨帝母像の写真もあり、展示されることが伺えた。この春の展示に出展されている主要なものは、秋冬展示への出展が確定し…

【醍醐寺】狸毛筆奉献表

空海が嵯峨天皇へ献上した上表文。空海が筆の名人と呼ばれるのは様々な字体を書き分ける能力があったからだ。生真面目な最澄は大陸から伝わった書の書き方がほとんどで、空海のように四書体を書き分ける器用さはない。 三十帖冊子でもそうだったが、どうして…

【醍醐寺】薬師如来及び両脇侍像

薬師如来と脇侍は、もともと修行場となる山の上にある上醍醐に安置されていた。だが、上醍醐では十数年前の落雷による火災が起こり文化財としての保管議論が起きた。時々下山していた(もちろん人の手によって運ばれた)像は議論の末、保管環境にすぐれた霊…

【三宝院】唐門

写真の右奥に国宝の唐門がある。表側からなら入場料なしで写真が撮れるがせっかく入場料を払ったので裏面の写真を載せた。 表面も裏面もデザインは黒漆をベースに金で家紋を表現している。派手好きな秀吉が喜びそうなデザインとなっている。平成22年に修復…

【醍醐寺】宋版一切経

昨年に国宝指定を受けた宋版一切経は醍醐寺では新入りの国宝である。東大寺復興の立役者である重源が宋から持ち帰ったものを醍醐寺に納められたものが現代まで伝わっている。 展示は大切に保管していたことが分かるように保管していた箱が後ろの壁面に配置さ…

【醍醐寺】五重塔

天気用予報などで桜の開花のニュースが出始めた。日本史の中で桜と国宝の組み合わせで一番想像されるのは醍醐寺だろう。豊臣秀吉が1598年4月20日に醍醐寺で桜の花見を開催した。今から420年も前の話であるが、北野大茶会と並ぶ催し物で未だに知られ…

【東洋文庫】史記 夏本紀第二

三菱財閥の美術館では、これまで丸の内の三菱一号館美術館と二子玉川の静嘉堂文庫美術館に行ったことがあった。そして今回、初めて東洋文庫に行った。 他の二館と違って、目を引く特別企画展が行われることは少なく、なかなか興味を持てなかった。そうこう言…

【長保寺】多宝塔

本堂と同じ時期に造られたと思われるが、塔は純和風建築。和歌山の国宝指定の塔は高野山の金剛三昧院と根来寺の多宝塔があり、どうしてもそれらに比べると地味である。本堂や多宝塔それぞれ単独で観ると地味で仕方がないが、同一寺院で大門・本堂・塔の3つ…

【長保寺】本堂

長保寺は一条天皇の勅願により1000年に建立された。1241年に現在の地に移され、1311年には主要な建物を丘の中段に移設した。京都の寺社建物を見慣れてしまうとそれ程大きくもなく、外から見る限り凝った設えもないので地味に見える。ただ、鎌倉…

【長保寺】大門

紀州藩の菩提寺である長保寺は国宝建築物が3件ある。その一つが入口の大門。和様の入母屋造りを基調にしているがところどころ唐様が混じっている。大門を抜けると桜並木となっており、時期が来た時にはすばらしい眺めになるだろう。 大門は室町時代の138…

【お守り刀】太刀 吉房 林原美術館

福岡一文字派の代表工、吉房の作品。 古い刀は騎馬上で振るうことを想定して、かなり長く造られていた。そのため、時代を経るとともに使いやすい大きさに加工してあるものが多い。その簡単な見分け方として、柄が備えられる部分の目釘孔が複数空いているもの…

【お守り刀】短刀 名物九鬼正宗 林原美術館

短刀の展示会にとても合った国宝。 正宗は鎌倉幕府お抱えで相州の代表的な刀工。同刀は伊勢国鳥羽藩の九鬼家が所有していたことが名の由来。関ヶ原の戦いで親子が分かれて戦ったことへの謝罪?のため、九鬼守隆から徳川家康へ献上した刀だ。その後、紀州徳川…

【お守り刀】太刀 長光 林原美術館

岡山の林原美術館で恒例となった、現代の刀鍛冶たちの作品を展示・表彰する「第十二回お守り刀展覧会」が開催されている。もちろん実用もできる造りだろうが、あくまでも観賞用。守り刀なので、短刀が中心で刃紋が綺麗に仕上がっているなど、見入って取りつ…

【平等院】雲中供養菩薩像

2018年。世の中は大人数アイドルグループ人気のピークが来ている。おニャン子クラブに始まる大量アイドル生産は30数年の時を経てビジネスモデルを確立した。仏教界でも大人数仏全盛期があった。十二天像や十六羅漢、二十五菩薩、五百羅漢などがある。…

【平等院】木造天蓋

定朝作の阿弥陀如来坐像をじっくり観ていると、案外見逃してしまうのが天井との間にある木造の天蓋。如来に合わせて造られているので一体として観がちで、考えようによっては建物一部に観えるのが、列記とした国宝物である。 平等院の阿弥陀様以上の大きさの…

【平等院】阿弥陀如来坐像

浄土思想には阿弥陀如来がサポート役として必須である。阿弥陀さんが天から人々を救い出すために念仏を唱えて主張するというのが庶民信仰の定番である。そんな阿弥陀様を誰も観たことがない(はず)。しかし、阿弥陀如来と言えば平等院に坐しているものを無…

【平等院】鳳凰堂

平等院の最大の見どころは池に浮かぶように作られた鳳凰堂のフォルムだろう。中華風の建築様式に翼のように広がる堂の形。各地の寺院が変形ロボットにデフォルメされた場合、もっとも変形しそうな寺院ランキングで第一位にだろう。いつ飛び立ってもおかしく…

【平等院】金銅鳳凰

写真は模造品。 鳳凰堂の由来にもなった鳳凰は宝物館で展示されている。外に出ているのは梵鐘と同様に模造品。雌雄一対で鳳凰であるが、展示場のように間近で観てもよく分からなかった。屋根の上にあると大きさが分からないが、神社などの狛犬より少し大きい…

【平等院】鐘

写真は国宝の模造品。 極楽浄土、末法思想、池泉型寺院がへ西暦1000年頃に流行った。釈迦入滅から1000年が経ち世の中が変わる終末という考えが流行、当時の権力者である藤原氏が阿弥陀にすがる寺院が乱立した。仏教がまだまば権力者のものであったこ…

【仁和寺展】両界曼荼羅 子島曼荼羅

本日で惜しまれつつ終わる仁和寺展。本サイトで一番アクセス数があったのは両界曼荼羅の記事だった。 同図は誰もが見上げる大きさと、紺色のベースに金で書かれた図は観る者を圧倒する。それを子島曼荼羅は暗闇の中で燈火によって浮かび上がる工夫がなされて…

【仁和寺展】千手観音菩薩坐像 葛井寺

運慶展には及ばないまでも、かなりの込み具合の仁和寺展が今週でいよいよフィナーレとなる。御室派の名品が一挙公開とあって、普段見ることができないもの多く、大変楽しめる展示会であった。 前期の初めに三十帖冊子の一挙公開を見に行ったが、目玉である葛…

【東大寺】誕生釈迦仏立像及び灌仏盤

この春、東大寺ミュージアムは一時休館する。メンテナンスもあるが、目的は震災の被災地である東北でのお出かけ展示会を開催するためだ。 そのメインの展示はもちろん誕生釈迦仏立像及び灌仏盤だ。釈迦は仏の道を諭したインド人である。宗教が誕生して広まる…

【東大寺】木造弥勒仏坐像

4年前にハルカス美術館で開催された東大寺展が東北でも開催される。国家安寧を祈念するために造られた官寺・東大寺が震災復興のために一役買うのは自明の理である。なので、寺宝を惜しげもなく展示する。国宝は8件、重文は21件に及ぶ。ただ、東大寺の仏像た…

國華 洛中洛外図屏風(舟木本) 岩佐又兵衛筆

洛中洛外図屏風といえば上杉家に伝わり狩野永徳が描いたと言われるものが有名である。謎が多いことも魅力の一つとなり、専門書でも書かれた時期、場所などの分析がなされている。 そして、国宝指定の洛中洛外図屏風は永徳以外に、今回出品され東博所有の岩佐…

國華 聖徳太子絵伝 秦致貞筆

聖徳太子の事績を描いた絵伝。もともとは障子絵だったものを屏風絵に仕立て直した。平安時代の作品で、10面のなかに60の太子が起こした事象が書かれている。厚い太子信仰が感じられる作品である。 レア ★★☆ 観たい ★★☆

國華 八橋蒔絵螺鈿硯箱 尾形光琳

日本独特の蒔絵は、絢爛豪華な大名たちの生活によく合う代物。観ているだけでうっとりする。権力者の象徴として相応しく、その蒔絵技法を用いて、螺鈿をちりばめた硯箱は筆記用具というよりも宝飾品の部類に入りそうだ。そのデザイナーが尾形光琳だったら、…

國華 普賢菩薩像 東京国立博物館

大倉集古館所蔵品が像ならば、東博は軸。国宝展でも陳列されていた名品で、国宝の普賢のコラボが実現した。平安時代の作品にも拘らず、綺麗に色彩が残っており、切金文様は眩い光を放って見るものを魅了する。 レア ★☆☆ 観たい ★☆☆

國華 普賢菩薩騎象像 大倉集古館

日本最古の美術雑誌のひとつ國華の周年イベント。発行元の朝日新聞の周年も加えて、豪華なラインナップが登場する予定だ。 「名作誕生つながる日本美術」展はは東博で4月13日〜5月27日で開催。昨年秋の国宝展には及ばないまでも、国宝でない名品たちも…

王羲之 円珍贈法印大和尚位並智証大師諡号勅書 小野道風筆

勅書は公式中の公式書物。それを書く人はその時代の最高の書家になる。小野道風はその最高の書家にふさわしい書き手である。型にはまったお雇い筆記と違う美しさが見て取れる。 レア ★☆☆ 観たい ★☆☆

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。