国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

【東博】古備前包平

大包平 名品は見れば分かる。とくに同じジャンルのものが比較できる位置にあればなおさらである。 名物の大包平は平安時代の作品のため、他に比べて大ぶりである。なんとなくショーケースからはみ出しそうな雰囲気すら感じる。ところが、大きいにも関わらず…

【奈良博】義淵僧正坐像 岡寺

金剛寺の降三世明王像があるべき金堂へお戻りになった。そのバトンを受けたのが義淵僧正坐像である。大きさや迫力は降三世明王には遠く及ばず、見た感じも情けない顔となっている。なら仏像館には大きな仏像も多く、どうしても等身大に近い坐像となるとイン…

【奈良博】 法華経 長谷寺

奈良博の名品展で国宝・法華経典が展示されていた。その中で長谷寺は経典とともに経箱もいっしょに展示していた。他の国宝の法華経たちもそうだが、「綺麗な漢字が並んでいるなぁー」と思うだけで、むしろ経を入れる箱の美しさには魅了された。 京博は派手な…

奈良博 法華経 浅草寺

浅草寺は観光名所。スカイツリーが出来てからはより一層人気の観光スポットとなっている。関東大震災では一部の延焼で済み、避難場所となった。しかし、東京大空襲で壊滅的な被害を受け、国宝であった本堂や五重塔が失われた。その中で、失われなかった法華…

奈良博 法華経(一品経) 慈光寺

奈良博の通常展で今週末まで国宝の法華経が大量に展示されている。その中で慈光寺の経は、鎌倉時代初期に製作された華麗な装飾経。後鳥羽上皇とその中宮・宜秋門院、中宮の父・九条兼実と九条家の一族により写経されたものだ。鎌倉幕府の祈願寺で、関東の天…

仁和寺展 後嵯峨天皇宸翰消息 後嵯峨天皇筆

仁和寺展の後半に出るのが後嵯峨天皇宸翰消息。真跡とみられる唯一の書である。承久の乱の影響で幕府が朝廷監視を強める中、後堀川天皇、四条天皇と続けて崩御し、後継ぎがなかったことから登板したのが後嵯峨天皇である。なるべくして天皇になった訳ではな…

【仁和寺展】 三十帖冊子 30帖一挙公開

仁和寺展のオープニングの目玉は「三十帖冊子すべて見せます」だろう。すべて公開は2週間のみ。仁和寺宝物の中でも人気が高いため、人だかりが出来ていた。 空海や橘逸勢など複数の執筆者がいるもので、冊子それぞれの書体が違う。並べて見られることは貴重…

仁和寺展 高倉天皇宸翰消息 高倉天皇筆 附守覚法親王消息 守覚法親王筆

第80代の高倉天皇の宸翰で現存する唯一の消息。高倉天皇の岳父は平清盛。そのため高倉天皇は平家絶頂期だからなれた天皇とも言える。仁和寺の第6世守覚法親王は兄にあたり、安産祈願のお礼の手紙である。平家のその後の歴史を知っているだけに、よくぞ今日…

仁和寺展 仁和寺御室御物実録(前田育徳会)

仁和寺円堂内の御物の目録で、950年に書かれた原本。平安期の美術工芸品の内容が分かる貴重な資料で、仁和寺の歴史の古さを改めて感じられる品である。 レア ★★☆ 観たい ★☆☆

仁和寺展 延喜式第十二、十四、十六(金剛寺)

金剛寺の秘宝である延喜式は国宝認定が2つに分かれている。第九は神名帳と呼ばれていて、近畿地域のことが書かれている。そして、今回紹介する延喜式は3巻で一つの国宝認定品。太政官八省関係の式であることからまとめられた。それぞれ2週間ずつ展示される…

仁和寺展 延喜式第九(金剛寺)

この春、平成の大改修を終えて、綺麗になった本堂のお披露目と、京博と奈良博に長らく寄託されていた大日如来坐像、不動明王坐像、降三世明王坐像が戻ってくる金剛寺。そのプレ祝いとでも言える秘宝の御開帳が仁和寺展である。延喜式がそれで、最初の2週は神…

仁和寺展 黄帝内経明堂・黄帝内経太素

唐の楊上善が勅を奉じて撰注した医書の写本。現存する中国最古の医学書である黄帝内経の一部で、現在の医学でも活用されている部分がある。仁和寺所蔵の国宝の中に実利的な医学書が多いとは知らなかった。昔は陰陽道など現在では非科学的な治療法に分類され…

仁和寺展 御室相承記

今秋の仁和寺寺宝特別公開にも出品されていた品。仁和寺が門跡寺院である証明書のようなもので、歴代の門跡たちの経歴や業績を確認できる書物。 レア ★☆☆ 観たい ★☆☆

仁和寺展 新修本草

医学書があれば薬学書もある。新修本草は鎌倉時代前期の写本で、武田科学振興財団も保有している。動植物を原材料にした薬物を記している。 レア ★☆☆ 観たい ★☆☆ 漢方史料館(95)『新修本草』仁和寺本

仁和寺展 医心方

日本に現存する最古の医学書の写本。いつの時代も健康は大事。公家も武士もそれは同じ。そこで健康を保つ医学書は最重要書類になる。仏教関連書だけでなく、医療などの貴重な資料が保管されているのは門跡寺院ならでは。 レア ★☆☆ 観たい ★☆☆

仁和寺展 誓願寺盂蘭盆縁起 附建立縁起 栄西筆

臨済宗の開祖で建仁寺を開いた栄西直筆の書。誓願寺には建立するときから2度目の宋へ渡航するまで滞在しており法会を行った。その時書かれたものだ。 栄西は吉備津神社の権禰宜の息子として生まれた超エリート。天台宗で学び、その形骸化に嫌気がさして渡宋…

仁和寺展 両界曼荼羅 子島寺

子島寺が持ち、奈良博に寄託している曼荼羅図。前期が胎蔵界、後期が金剛界を展示する。日本三大両界曼荼羅図(ほかは神護寺、東寺)のひとつだそうで、そのすべてが国宝指定。紺綾地で金銀の泥で描かれているので、暗い場所でローソクなどの弱い光で照らす…

仁和寺展 阿弥陀如来坐像および両脇侍立像

仁和寺展で金堂の内陣を再現したコーナーができるということは、阿弥陀如来坐像と脇侍が主役になるということだ。普段は金堂の真ん中、奥深くに鎮座している阿弥陀如来は信仰の中心である。門跡寺院である仁和寺では皇族が門主となっていたので、国家安寧を…

【仁和寺】金堂

仁和寺展が、いよいよ東京国立博物館で始まる。御室派が持っている寺宝の数々が見どころであるが、聞くところによると仁和寺金堂の内陣を忠実に再現したコーナーができるらしい。普段は非公開で、特別公開などでたまに見ることができるが、内陣の内側には立…

【春日大社】本社本殿4棟

2015年から16年にかけて20年に一度の式年造替が行われ、美しい朱色を身にまとった春日大社。東博での大社ゆかりの品の展示会に続き、奈良博でも春に行われる。 地の利を生かして、普段お目に掛かれない品々が展示されることを期待している。また、東…

古備前包平(名物 大包平)

通常の展示で超名品が出品されるのが、東京国立博物館の凄さだ。日本刀の最高傑作と名高い大包平が4月8日まで本館13室で観ることができる。おそらく刀剣女子たちが大挙して訪れることだろう。 平安時代の作品で、制作されて1000年以上経っており、その…

名品展 紅白梅図屏風 MOA美術館

昨年、リニューアルオープンしたMOA美術館の名品展が1月26日から3月13日まで開催される。 同美術館所有の国宝3点を含む、東洋美術コレクションが思う存分観ることができる。その中で、尾形光琳作の紅白梅図屏風は初春に見るにふさわしい作品だと思…

【神戸市立博物館】桜ケ丘遺跡出土品

年始のイベントでここ最近生中継されるのが西宮神社の福男。十日恵比寿の催事として開催されていたが、大々的なテレビ中継のおけげで、スポーツ的な催しとなっている。朝の開門直後に福男となるべく多くの人々が参道を駆け抜ける風景は1年の始まりが終わり…

【四天王寺】扇面法華経冊子 観普賢経 扇11

扇面法華経冊子は国宝展でも2種類展示があった。四天王寺は5帖所有しており、今回は国宝展に展示されなかったものをピックアップして展示していた。 観普賢経 扇11は桜花訪美人図があしらわれている。無味乾燥な経を華やかな桜に美人絵をコラボレーション…

【四天王寺】四天王寺縁起(根本本・後醍醐天皇宸翰本)

日本最初の官立仏寺である四天王寺。その宝物館が新春に公開されている。その中で、四天王寺の由来を書いている縁起は、大阪大空襲を免れて、現在までよく残った品だ。 宝物館は昭和のコンクリート造りで、保管庫に陳列棚を設けた感じ。聖徳太子関連の資料が…

【奈良博】智証大師関係文書典籍

この秋、園城寺内で十数年ぶりの黄不動公開が発表され、盛り上がっているなかで、奈良博では智証大師関連文書の一部が公開されている。 智証大師は大陸に渡り、様々な経験や文教関連の資材を持ち帰った。その記録を本人が書いている文章が国宝となっている。…

【奈良博】倶舎曼荼羅図 東大寺

年末年始の奈良博の企画展示はこの三連休で終了する。その中で、今年の奈良博で開催される特別展の前哨戦的な出品があった。それは倶舎曼荼羅図だろう。夏ごろに曼荼羅図展とも言うべき、糸のみほとけへの期待を高める出品だった。 曼荼羅図は密教では儀式に…

【道明寺】十一面観音立像

道明寺天満宮のすぐ隣に道明寺がある。いや、道明寺の隣に天満宮があるといった方が正しい。道明寺は真言宗御室派に属していて、東博の仁和寺展へは国宝の十一面観音立像が出品される。そのため、今回を見逃すと現地では4月まで見ることができない。 国宝指…

【道明寺天満宮】牙笏、青白磁円硯、玳瑁装牙櫛、犀角柄刀子、銀装革帯、伯牙弾琴鏡(伝菅公遺品)

国宝展でも通期で展示されていた菅公遺品の品々。後半になるにつれて考古ゾーンが人でいっぱいになってきて、なかなか見にくくなっていた。改めて現地で観るため、初詣で賑わう道明寺天満宮へ行く。 境内は初詣の参拝客でごった返しており、参拝以外にもおみ…

【奈良博】唐鞍(手向山八幡宮)

国宝の鞍は4つ。その代表と言えば永青文庫所有のもので、漆に螺鈿細工を施した観ていても惚れ惚れするものを想像する。しかし、手向山八幡宮の鞍はシンプルである。そもそも手向山八幡宮がどこにあるか知らなかったが、東大寺の二月堂や法華堂の並びにある…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。