京都国立博物館は毎年恒例の干支にちなんだ動物の展示と、各テーマごとの名品ギャラリー展となっている。改元があって初めてのお正月というとことで、紫宸殿障壁画や各神社の狛犬・獅子の彫刻、源氏物語絵巻などにぎにぎしい展示となっていた。
書籍のコーナーでは「いにしえの旅」と題して、日本や中国大陸での旅路を記録した書籍が展示してあった。円仁の入唐求法巡礼行記は遣唐使として大陸へ渡った円仁の一大旅行記で、現代なら旅ブログになるのだろう。3度目の渡航でようやく大陸へとたどり着いた円仁が大陸を渡る歩き、廃仏運動にもめげず空海や最澄が持って帰らなかった経典類を集めて帰国するまでの一大記である。原本は失われているが兼胤が書き写しものが現存する最古のものとなっている。この功績から延暦寺の第3代座主となり、円仁を慕う弟子たちが山門派と呼ばれるようになる。法然も尊敬していたそうで、冒険談はいつの時代も夢見る男の子のあこがれの対象なのだ。