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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

太刀 安綱 号童子切

f:id:kokuhou:20191229083053j:plain奈良・春日大社の国宝殿で今日から開催している安綱・古伯耆展は大混雑で幕を開けた。
初日なので、狐キャラクターのこんのすけが登場していたこともあり、普段の国宝殿には見られない刀剣女子が大挙して来ていた。まず、行列が出来ることがない展示会場で、年末の閑散時期のはずがここだけ賑わっていた。本殿の春日大社以上の賑わいがあることなどそうそうない出来事だ。
さて、展示は2017年に見つかった国内最古級の伯耆の奉納刀を中心に国宝の伯耆刀剣を含む展示となっている。伯耆は今の鳥取中西部で倉吉や米子が含まれる地域だ。出雲地域に隣接していることから古代から文化度が高い場所となっている。また、たたら製法による鉄の加工技術が確立された場所なので、平安期に刀生産地であったのだろう。
平安末期以降、各地で武士が活躍するようになり、生産地も南下し各地に点在するようになった。そして次第に伯耆刀の需要がなくなったのか、鎌倉時代より名刀を生み出すことは少なくなった。
さて、平安期の刀は大陸風の直刀から日本刀独自の反りなどを確立する過渡期であった。安綱は反りを実装化したと言われる刀工で日本刀の祖と言ってもよい。童子切酒呑童子という妖怪を切った伝説があり、加えて源氏の棟梁たちが愛した刀である。天下五剣に列していて、鎌倉以降の天下人に愛された最高峰の刀である。
さて、安綱は太刀なので長いが大包平程の長さはない。丁寧に保管され続けたことが分かる美しさがあった。ただ、美術的な美しさよりも実用的な形状美があり、一度振り下ろしてみたくなるかっこよさがあった。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。