2018年まで約10年の歳月をかけて大修理が行われていた宮城県・松島にある瑞巌寺。落慶から1年が経ってようやく訪れることが出来た。
大修理が始まったころに、一度だけ松島を訪れたことがある。その時に、修理を終えたら必ず見に行こうと、工事中のお堂は拝観せずに後にした。それから東北の震災があり、美しく立派に並んだ杉木が津波で被災した。約10年前の訪問では境内の散策のみだったので、木々に囲まれたイメージが残っており、苗木が少し育った状態で時の経過があるにも関わらず被害の大きさを感じた。
さて、瑞巌寺の国宝は建物で、庫裏及び廊下、本堂となっている。入り口は庫裏で妙法院を彷彿とさせる立派なものである。廊下は鴬張り?なのか歩くたびに音がするものの、本格的なものでないのでたわんでいるだけかもしれない。
本堂は修理を終えたばかり。内陣の襖はすべて新調されていて、中国の故事にちなんだ黄金に輝く絵が描かれていた。一方で欄間などの彫刻は塗装もそのままで、二条城の彫を思い起こす技術の高さが際立っていた。本堂正面廊下の突き当たりから見える別の建物への移動する廊下には左甚五郎作の彫刻があった。日光でもそうだが、なぜ左甚五郎は一部分しか彫らないのか謎だ。
松島湾は多島美が魅力で、その島々が堤防の役割を果たしたため津波被害が少なかったそうだ。仙台空港の周辺などは津波で壊滅的な被害になり更地ばかりで、改めて自然の驚異を感じた。