国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

北野天神縁起絵巻(承久本) 北野天満宮

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石川県立歴史博物館は石川県立美術館を出て右手奥に見えるレンガ造りの建物にある。歩いて数分の距離で、その途中で絶賛建設工事中の建物がある。そこには国立近代美術館工芸館が来年移転する予定だ。伝統工芸の街・金沢にふさわしい取り合わせである。(駅から近かったらもっといいのに…)

さて、歴史博物館では加賀前田家と北野天満宮と題して展示会が開催されている。天神さんと言えば、大宰府や北野、大阪、防府など瀬戸内地域と縁深いイメージがある。なのに日本海加賀藩北野天満宮???

そのカギは前田家の家紋・加賀梅鉢にある。戦国時代以前は国主は名門一族の末裔が君臨しており、血筋がよろしいことが国を治める正当性になっていた。しかし、下克上の時代、地元の武士はもちろん農民など出自が分からない人々も戦でのし上がり、国を統治する時代となった。しかし、えらくなるに連れて統治する上で出自も大事となるので、「実は○○の末裔だった」と後付けして、家系図すら空想に近いものが出来上がった。そこで、前田家も菅原道真公に縁がある家系とすることため、家紋に梅を用いた。

菅原一族の末裔であるならば、氏神である天満宮を祀るのは必然。そこで、周年時には刀を収めたり、氏子代表になったり、北野天満宮がことあるごとに前田家は支え続けた。そのヒストリーを展示するとともに、地元の天満宮文化財も公開している。

さて、国宝は北野天満宮所有の縁起絵巻。観たのは第二巻で道真公が弓を引く場面で、武芸にも秀でていることが描かれている。学問の神様としては超有名だが、文武に秀でたからこそ出世し、嫉まれることとなった。いつの時代も出る杭は打たれる。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。