国宝を観る

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国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

色絵雉香炉 野々村仁清作

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「石川の美術〜美術館創設60年のあゆみ~」と題して、石川県立美術館で所蔵品の選りすぐりを一挙展示している。石川県、もとい加賀藩徳川幕府への恭順を示すため、武力に繋がらない伝統工芸品の作成に藩として力を入れた。そのため、今日でも素晴らしい工芸品を世に送り出している。その技術力を芸術として捉え美術館が60年かけて集めた展示物が一堂に会した。

とはいえ、近代工芸品で国宝指定を受けたものは全くなく国宝とは無縁の展示会。しかし、石川県立美術館には常設の国宝、しかも14件しか指定を受けていない陶器類の「色絵雉香炉」が常設されている。

国宝の陶器はほとんどが茶器や器。茶器の形や曜変天目の奇跡など再現し難いものが指定を受けている。しかし、色絵雉香炉の雄はその存在感が国宝となる逸品である。写真の奥が雄で、視線や尾びれの位置などでいままさに飛び出そうとする雰囲気がでており、躍動する寸前の静寂を表現している。国宝は雄の方だけだが、雌(重要文化財)はそれを見つめており、雄とともに羽ばたく機会をうかがっている。湖面に浮かび朝焼けを浴びた一風景を想像させる2羽となっている。

この香炉は単独の部屋にあり、ここだけが写真撮影OK。60周年企画で出ている作品には伝統工芸にシュールな芸術を入れたり、匠の技工を駆使したものなど加賀100万石の歴史が詰め込まれたものばかり展示されていた。そのほかにも、地階には歴史的な収集物や江戸時代の大家が描いた画家のものも見られて大満足の展示会だった。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。