東博での仁和寺展で見たものと再開。天皇の直筆である宸翰で、それを手紙として出したものが消息。天皇から直接お手紙をもらったら、末代までの家宝にするだろう。にもかかわらず、ほとんど残っていない。まず、天皇自身が書くことが珍しい。明治以降の天皇の直筆も叙勲などの公式文章への署名以外はほとんど見かけない。そして、室町以前の天皇の直筆は応仁の乱の戦火で焼けてしまったことも見かけない一因だ。文字を書くこと自体が減ってきた世の中ではあるが、デジタル的に書を残すことができなければ経典の代筆のようにとてもうまいが個性のない字のみになりかねない。なにかの機会に直筆の手紙を書けば同書のように後世に残るかもしれない。