大和西大寺駅を北へ十数分。県営の寂れた競輪場の近くにあるのが秋篠寺。建物のみが国宝の指定を受けている。
国宝の本堂は奈良時代に創建されたものが火災で焼失したため、鎌倉時代に再建されたものが国宝となっている。堂内には薬師如来を中心に一列に像が並んでいる。宗派を法相宗を皮切りに、平安時代に真言宗、明治に浄土宗、戦後に単立宗派となった。そのため愛染明王や不動明王、五大力菩薩なども並んでいるが、阿弥陀如来はなかったのは明治期にお金がなかったからかもしれない。
奈良には西大寺や東大寺を初め大伽藍を備えた寺院が多くある。そのなかでは秋篠寺はこじんまりとした寺院である。本堂が国宝でなければ訪れることはなかったかもしれない。皇嗣の宮家由来の寺院名であり、ご成婚時はフィーバーしたのだろうが、あれから30年近く経ち寺院の寂れ感も漂う。新元号を機に新しい参拝者を取り込みたいところだろう。