式年遷宮が記憶に新しい春日大社。その時に造られたのが国宝殿で、春日大社の至宝を少しずつ展示している。
そんな春日大社は甲冑類の国宝保有数はナンバーワン。4つの甲冑と1つの籠手が指定を受けている。ちなみに甲冑4点が国宝指定を受けているのが厳島神社と大山祇神社で、厳島は平家、大山祇は源氏が瀬戸内海運の安全のために奉納したのだろう。
春日大社は武運の願掛けで奉納していて、籠手は源義経が奉納したと言われている。そして、黒韋威矢筈札胴丸も楠木正成が奉納したとされるもの。春日大社の国宝甲冑には装飾が煌びやかなものもあり、それらは奉納のために造らせたと思われる。対して黒韋威矢筈札胴丸は装飾性は少ないが、部分部分で豪華さを感じる作りとなっている。鎌倉武士の合理性を備えた黒い甲冑はいつ戦で着てもおかしくない輝きをしていた。