密庵咸傑は宋の時代の禅僧。その墨跡で唯一現存しているものが龍光院所有のモノである。密庵咸傑の系譜から著名な墨跡の著者が数多く誕生していて、虚堂智愚、蘭渓道隆、無準師範、無学祖元、清拙正澄、日本の宗峰妙超・一休宗純、夢窓疎石、雪村友梅など枚挙の暇がない。
墨跡界のレジェンドであることに加えて、千利休の添状もあることが箔をつけている。茶会の床の間に飾る最高の品である。国宝の龍光院の書院ないには茶室「密庵」があり、この墨跡を飾るためだけの密庵床が存在する。そのくらい貴重な重要なものとして扱われている。
展示会では他の展示物同様に飾られていることと、曜変天目が見た目からして注目を集めるので、墨跡の貴重性が分かりにくい。また、MIHOミュージアムの展示には解説が無いに等しく、事前予習なしに行くと見落としてしまう。この機会を逃すといつ展示されるか分からない逸品として見ておきたい。