国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

木造聖徳太子・山背王・殖栗王・卒末呂王・恵慈法師坐像 5躯 法隆寺

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法隆寺駅

法隆寺は国宝建築物保有数ナンバー1、国宝指定の彫刻保有数もかなりの数である。(三十三間堂の千体や平等院の供養菩薩など体数だと見劣りするが)。境内は国宝だらけの寺院である。

国宝の彫刻はすべてが建物内で保管している。なので、入場して見なければならない。まあ、当たり前と言えばその通りである。しかし、普段は秘仏木造聖徳太子・山背王・殖栗王・卒末呂王・恵慈法師坐像 はお会式の3月22日から24日にしか公開されない。そして、ネット情報だと供物が像の前にうず高く積まれているのでほとんど見えない。

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そんな見ることが困難な像を間近で観る機会がある。お会式の前日に行われる逮夜法要が終わったのちに内陣まで入って間近で拝むことができる。

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逮夜法要は3月21日の午後6時から始まる。ちょうど春分の日なので日没もその頃で、始まる前は少し明るかったが終わる30分後には真っ暗になっていた。室内はローソクの灯による幻想的な雰囲気で、法隆寺の境内についても夜間公開を前提にしていないので街灯類も少ないため、暗がりの中での神秘的な儀式となっていた。

10分前についた時には50人を超える人がお堂の中ですわってまっており、法要が始まってからも来た人がいたので100名を若干下回る人出になっていた。法要は左右5名とメイン1名の11名で行われ、左の部屋内にリズムをとるための雅楽師が控えていた。お経が読み上げられ、途中に両サイドのお坊さんが散華を蒔いていた。これは持ち帰ってもいいようで、先頭で入って内陣見学した人が像を見るよりも先に拾っていた。なので、最初に来ていた人はそれが目当ての人だったのだろう。

法要が終わると、内陣に順序良く案内。100名近い人がいて、照明がローソクだけだった。おまけに床と畳に段差があってこけてもおかしくないため、なんども注意喚起していた。

さて、肝心の像だがネット情報ではライティングがされていないため非常に観えず辛いと書かれていた。しかし、今回は像が安置されている3か所それぞれに照明が焚かれていて非常に見えやすかった。時代の変化に寺院側も配慮していただいたのだろう。そして、国宝の聖徳太子像は、お札にもなった肖像画のか細さと違う非常に凛々しく男らしい像だった。顔の輪郭が四角張った造りで、高橋英樹ばりにデカく感じた。そのほかの4体はユーモア溢れるもので、いたずら好きのかわいらしい像だった。東大寺の良弁がリアル路線の像であるのに対して、亡くなって500年後の平安時代に造られた像だけに、漫画チックな面が全面にでている。ちょうど香雪美術館で鳥獣戯画の公開がはじまっているが、平和が続いた時期だったこともあり当時の流行だったのかもしれない。

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。