国宝っていくらで買えるの?
そんな疑問に真っ向から答えを出したのが太刀 無名一文字、通称は山鳥毛。上杉謙信ゆかりの刀とあって、上越市が購入を希望し交渉していた。市の特別予算はもちろん、ふるさと納税や募金などを募って3億2千万円を計上し、交渉したがあえなく撃沈した。売却予定者が5億円以上の価値があると考えたからである。つまり、売り手の言い値ということになる。
幸か不幸か、売却されなかった個人蔵の刀剣は元の寄託先である岡山県立博物館で期間限定で展示中。売却報道があった時には岡山で見ることが出来る最後とあって話題にもなったが、出戻り国宝は案外人気がない。今秋は京博、近くのふくやま美術館などで刀剣の大展示会があり、ブームの再燃となりそうだが時期が少し早かったようだ。
山鳥毛はその名の通り、刃紋が羽根や産毛のように自然な形で開いたように見える。均一的な刃紋が多い中ではめずらしい。それだけでなく謙信・景勝が愛用したなど来歴もしっかり。備前刀の最高峰といってもよい。岡山県瀬戸市が購入に意欲を見せているようだが、出来るなら常設で陳列できる自治体が購入して欲しい。