徳川幕府が出した大型造船の禁止令までは、瀬戸内の海賊たちが西日本の海を支配してきた。特に源平盛衰を懸けた12世紀から戦国時代までは戦いの中で、どうしても海を利用することがあった。海運は陸上輸送に比べて圧倒的な速さと物量を運ぶことができるためである。
そこで時代を制した大将たちはこぞって海の神に奉納してきた。厳島神社は平清盛を筆頭に平家が崇拝。そして、大山祇神社は源頼朝を含む源氏の奉納物が多く、国宝指定8点を含む宝物が国宝館に陳列されている。
しまなみ海道で尾道と今治の中間ぐらいに位置する大三島に大山祇神社がある。神社は島にあるとは思えない造りで、京都の寺社にも負けないぐらいだった。
お宝を保管する建物は蔵を改装した旧館とコンクリート造りの新館からなり、鑑以外は新館に展示されている。ほどほどの来客数でじっくり見るにはちょうど良いスペースで、武具類が充実している。ただ、新館ですら古臭い造りであるので、もう少し近代的なものへ造り替えるか、神社の向かいにある近代的な美術館に移した方が工芸品の保管にはよさそうだ。