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【京博】池大雅

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池大雅は国宝指定が3点もある南画の巨匠だ。昨年の国宝展に1点ぐらい出ると予想していたが、回顧展への出品に回って、待望の対面となった。

とはいえ、昨年の今頃までは全く国宝に興味がなかったこともあり、池大雅の名前を知らなかった。国宝の十便十宜図で共作した与謝蕪村ならなんとなく学校で習った記憶がある。また、同時代の若冲が大ブームとなっていることを考えると少しは知っていてもおかしくないはずだ。だが、南画は中国で誕生した山水画だとに見られがちで、大雅が確立した違いが分かりにくい点が声高に喧伝されない理由かもしれない。

日本の山水画は見ることが叶わない(雪舟みたいに一部は見に行った人もいるが)中国の風景を描くため、形式的になりがち。その形式を超えるため、全国を見て回って地形を研究した池大雅だから出来た中華風風景画技法が南画である。現代ほど旅行が自由でなく、費用も莫大にかかった時代であり、誰もができることではない。それを敢行したことが池大雅の大きな財産になって絵画に反映された。日本十二景図や真景図などにみられるように、景勝地の特徴を水墨画で端的に表現しており、のちの国宝・重文につながる作品の原点のように思えた。楼閣山水図屏風や山水人物図襖など、それらの経験が生きた作品で、オーソドックスな山水画とは一味違う見ることができそうな風景に仕上がっていた。

珍しい項目として使用した技法の指墨図がテーマとなっていた。指を筆替わりに使う技法で、現代絵画ではポピュラーな技法である。それを江戸時代の山水画で取り入れたのだから斬新である。絵画は細かな部分まで計算された構図で仕上がることから余り自由を取り入れることがない。俵屋宗達のたらし込みほどの斬新さはないが、それでも筆以外で表現するチャレンジ精神が自然を描くヒントになったのかもしれない。

風景のすばらしさとは違って人物や動物が極端に少ない。篆刻に造詣が深く書はすんなり読めないなど、インスタ映えに見られる一目で分かるキャッチ-さが無い。若冲との差はその辺にありそうだが、京博の特別展は評価されるまで3年ぐらい早い時期に開催することが多い。先物買いとして風景画は浮世絵などで流行っているので、篆刻が流行るかもしれない。

国宝は2017年10月3日~11月26日が会期で無事終了した。 この展示会に出ていない800件以上の品々も見ていきたい。