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【国宝】曜変天目 龍光院

今回の展示会で一番観たかったもの。それが龍光院曜変天目茶碗だ。京博も力が入っており、各階に曜変天目は「1階陶器にある」との看板。陶器の入口は近くで観るためと、その他の作品と遠くから眺めるための2通路を設けるなど、混雑をいかに回避するか入念な対策が採られていた。

しかしである。自分自身のワクワク感と博物館の期待に相反してか、そこそこ並べば観ることができた。見に来ている人たちがあまり前情報を入れずに来ているせいだろう。むしろ、絵や書の巻物類の方が混雑しているのは予想外だった。

曜変天目龍光院のもの以外に、静嘉堂文庫美術館藤田美術館が所有するものと合わせて3つが国宝指定されている。今年は展示の当たり年で春に藤田美術館で、梅雨から夏にかけて静嘉堂文庫美術館で、それぞれを展示していた。(曜変天目の当たり年なのは、昨年末になんでも鑑定団で新たな曜変天目の鑑定結果が始まりかもしれない。)

藤田美術館は館全体の改装前最後の展示会で出品。小振りで、光を当てると一部が外側まで輝くのが特徴。器の中の文様はどちらかといば油滴のように斑点が多くある。そこに光を照らす蒼く光り輝き、小宇宙を観ているようだった。

静嘉堂文庫美術館所有のものは、香合・香炉展になぜか特別公開。外側は傷のある部分は少し光るが基本的には中のみが輝く。器の中の斑点は大きく、少しでも光があれば鮮やかに青く光り、観ていて宝石のようだった。大きさも茶器として申し分なく、何度か茶をたてた煎茶の傷がしっかりと見えた。3つのなかで一番輝くと聞いていたが比較するとその通りだと思う。

さて、肝心の龍光院の天目茶碗だが、近くで見なければ観たことにならないぐらい、底へ行くにつれて煌びやかになっていく。まず、器の外周りは黒い釉できれいに整えられており、静嘉堂のように傷がつくこともなく大切に保管されてきたことが伺える。

近くで器の中を観ると、高い位置の斑点は白くて輝きはそれほどない。しかし、底へ行くほど天目茶碗特有の蒼い輝きを放つ。まるで中心の蒼い特別な光が放たれ、そこから白い輝きが散らばっているようで、銀河の誕生を見ているようだ。

中まで見るためには並びなおさなければならない。そこで、底が見えない放れた位置で立ち止まって確認したが、そこから見える内側の高い位置には油滴天目といっても問題がないぐらい蒼い輝きの少ない白い斑点があっただけに見えた。観える角度によって輝きの違うことはあっても、茶碗内の高低位置によって蒼く輝くか白っぽいままかはこの茶碗だけだろう。

あまり時間がとれないなかで、内部に茶筅の跡があった。何度か使用されていたのは間違いない。その時、茶を飲み干して茶碗を観た時の感動は相当なものだろう。ラーメン屋の天下一品ではないが、底を観るまで予断を許さない茶碗である。

週末の美術系番組で立て続けて、曜変天目が取り上げられた。美の巨人は静嘉堂文庫のもの、日曜美術館はⅠ期の紹介が中心に龍光院曜変天目が別撮りで紹介されていた。テレビの力は相当なもので、これを見た人たちで混雑の必至になりそうだ。(台風の最中の日曜日は館内60分待ち!!が出たようだ)

国宝は2017年10月3日~11月26日が会期で無事終了した。 この展示会に出ていない800件以上の品々も見ていきたい。