国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

金工

短刀 朱銘貞宗 本阿花押(名物伏見貞宗) 黒川古文化研究所

国宝の刀を二振所有している黒川古文化研究所で名品展を開催、その展示会で2振とも展示されているというので、現地に見に行った。 黒川古文化研究所は兵庫県西宮市苦楽園にあり、東洋美術を中心に収集している。春と秋の1か月間程度の開館で、常時開いてい…

梵鐘 當麻寺

當麻寺は4月14日にお練り供養が行われる。天気予報では午後から雨予想だったので、午前中に訪れた。 近鉄当麻寺駅から歩いて十数分。當麻寺までは一本道のため迷うことなく東大門正面へ着く。寺の伽藍は一段高い地にあるため、東大門前についてもほとんど…

古備前正恒 文化庁

東博の本館ではジャンル分けされた展示が行われている。この中で刀剣のカテゴリーでは国宝が1~数点出品される。2022年春は文化庁所蔵の古備前正恒が展示されていた。文化庁分室が東京国立博物館にある。 正恒は平安後期の刀工で、古備前派を代表する名工で…

金銅能作生塔 長福寺

仏教における塔は信仰の象徴で、仏舎利を納めることに用い、仏を宿らせる象徴となっている。仏像は具体的で分かりやすい象徴となっているが、塔もその内部や表面などに絵画を施すことで信仰の対象としてきた。 金銅能作生塔は宝珠などを納めるために造られた…

【東博150年】太刀 銘備前国友成造

平安中期に作られた古備前派の代表格である正恒と並ぶのが成造。御物である鶯丸の作者として有名である。山城国の三条小鍛冶宗近、伯耆国の安綱やすつなと共に日本三名匠と呼ばれている。 成造は日本刀が鎬造で湾刀の形式を完成させた時期に活躍しており、こ…

【東博150年】太刀 銘吉房 号岡田切

東博が所有する国宝の吉房作のもう一本は岡田切と呼ばれている。天正12(1584)年に織田信雄が羽柴秀吉の策略にはまり家臣の岡田助三郎重孝を同刀で斬ったということから名付けられた。この殺生が小牧長久手の戦の勝敗を分けたとも言われおり、織田家にとっ…

【東博150年】太刀 銘吉房

東博所有の国宝で吉房作は2点存在する。こちらは号のない方。同刀工の国宝作品はそのほか、島津家伝来の個人蔵、ふくやま美術館所蔵、林原美術館所蔵の計5本が指定されている。 吉房は福岡一文字派の流れを汲む刀工で、助真、則房とともに鎌倉時代中期の備…

【東博150年】梨地螺鈿金装飾剣

朝廷の儀式のときに正装した高位の公家が帯びたキンキラキンに仕立てられた剣。各所に高い工芸技術を用いており、武器というよりも調度品としての意味合いが強い。藤原北家の後裔である広橋家に伝来した。 レア★☆☆観たい★☆☆コラボ★★★(刀祭) emuseum.nich.g…

【東博150年】太刀 銘備前国包平作 名物大包平

大包平は長さ90cm近くの堂々たる大太刀。備前国包平作と堂々と刻まれており、武士ならば持っておきたい逸品である。 包平は、助平、高平とともに備前三平と呼ばれる名工の1人で、平安から鎌倉初期にかけて活躍した古備前派となる。池田輝政の愛刀で、長く…

【東博150年】太刀 銘安綱 名物童子切安綱

東博が所有する天下5剣のもうひとつ名物童子切安綱は平安時代に活躍した刀工の作品。安綱はたたら文化が発展した鳥取県西部の伯耆国の鍛冶職人である。 伝説として童子切安綱は源頼光が丹波国の大江山で酒呑童子を斬った太刀であるとされる。ただ、酒呑童子…

【東博150年】太刀 銘三条 名物三日月宗近

室町時代、数ある日本刀の中で特に名刀といわれる5振を天下五剣と呼び、現代まで受け継がれている。御物の鬼丸國綱、前田育徳会所蔵の光世作・名物大典太 、そして本興寺所蔵の恒次・名物数珠丸の3振と東博所蔵の2振を指す。 まずは名物三日月宗近。京都の…

【東博150年】太刀 銘定利

定利は文永年間(1264-1275)に京都四条の綾小路に住んでいたので、綾小路定利と呼ばれている。 鎌倉時代中期に作品。徳川家綱が日光からの帰りに、岩槻藩4代藩主の阿部正春に与え、以降阿部家に伝わった。日清戦争終結後の1895年に、阿部家から明治天皇へ献…

【東博150年】太刀 銘来国光 嘉暦二年二月日

国光は鎌倉時代末期から南北朝時代に活躍した刀工。京都で刀鍛冶を始めた国行を祖とし、国俊、その子となる国光と続く。その一派を来派と呼ぶ。 同刀は銘と年号を1行で書く下し、反りが強く、来派の伝統である直刃の作風を示している。徳川家達から皇太子時…

【東博150年】太刀 銘備前国長船住景光 元享二年五月 日 号小龍景光

東博では定期的に展示される刀。長船派三代目景光は鎌倉時代末期に活躍した刀工。 本作は表の樋の中には倶利伽羅龍が刻まれており、その造形が素晴らしいので見ていて分かりやすい。裏には梵字を浮彫としているそうだが見た記憶がない。刀身の元から龍がのぞ…

【東博150年】群鳥文兵庫鎖太刀 号上杉太刀・中身 太刀銘一

武器としての刀は実用性を重視してシンプルに作られている。とくに鞘はそれほど重要ではなく、展示場面でもいっしょに飾られていないことが多い。 武器としてではなく、奉納品としての刀はゴージャスに作られ、刀身よりも鞘に目が行く。春日大社が保有する国…

【東博150年】短刀 銘吉光 名物厚藤四郎

吉光は鎌倉時代の京・粟田口派を代表する刀工。通称は藤四郎といい、様々な名物を生み出しており、短刀製造の名手として知られる。相州正宗と並ぶ稀代の名工、豊臣秀吉からは郷義弘を加えて、天下の三名工に数えられた。 国宝は4点指定を受け、徳川美術館所…

【東博150年】太刀 銘長光 号大般若長光

備前の長光の作。大般若と名付けられた謂れは室町時代に銭600貫という高値がついた全600巻ある大般若経にあやかって称するようになった。それぐらい価値のある刀とされた。もと足利家に伝えられたが、三好長慶に渡り織田信長の所有となった。姉川合戦の功…

【東博150年】刀 無銘正宗 名物観世正宗

相模の刀工・正宗の作品。能楽の観世家が所持していたことから「観世正宗」と呼ばれる。ただ、家康が観世家から召し上げて秀忠に渡し、以後は家臣との間で拝領と献上が繰り返された。明治維新後も続き、徳川家から有栖川宮に献上、同家を継いだ高松宮家に伝…

【東博150年】短刀 銘行光

行光は相模の刀工。通称を藤三郎といい、新藤五国光の子とも弟子とも伝え、正宗の父とも養父ともいわれる。 曲線的な乱れ刃で知られる名工・正宗の師匠でありながら、国光の直線的な刃文の直刃を受け継ぐ作風で、刀の変遷を知る貴重な作家となっている。行光…

【東博150年】刀 金象嵌銘城和泉守所持 正宗磨上本阿 相州正宗

正宗は相州の刀工で、鎌倉時代末期に活躍した。 江戸時代初期の刀剣鑑定家、本阿弥光徳が正宗作品であるとお墨付きを与えるために埋忠寿斎が研ぎ上げて金象嵌の銘をほどこした。墨付きではなく、金象付の刀となった。 銘にある城和泉守は城昌茂のことで、武…

【東博150年】太刀 銘助真

助真は備前の刀工で一文字派に属する。備前国福岡に住んでいたことから福岡一文字とも呼ばれる。福岡と言えば、いまだと九州北部・博多がある地域を想像する。この想像は遠からず当たっており、関ケ原の合戦後に黒田家が入封した際にゆかりのある備前国福岡…

【東博150年】太刀 銘長光

国宝を19本も所有する東博は同じ作者の刀をいくつか所有している。名の売れた刀工の作品は武士として誰もほしくなる。そのため恩賞として渡す際に価値の高く、末代までの誉れとして大切に保管される。 長光は備前長船派の隆盛の基礎を築いた刀工として垂涎…

【東博150年】刀 無銘貞宗(名物亀甲貞宗)

東博150周年の国宝展。みどころのひとつとして、東博が所蔵する国宝19本がすべて登場する。一つの展示会で出品される国宝刀数は最大級。それが東博1館に所蔵されているのだからすごい。 さて、個人的には刀自体の見方が全く分からないが、なんとか違いを…

【東博150年】舟橋蒔絵硯箱 本阿弥光悦作

本阿弥光悦作の舟橋蒔絵硯箱は蓋の中央部が尖った山型に仕上げた珍しい形の箱になっている。蓋にはたすき状に鉛板を配して橋に見立てアーチ状の演出を作り上げている。書画から工芸までマルチで芸術を紡ぐ本阿弥光悦作ならではの発想豊かな硯箱である。これ…

【東博150年】八橋蒔絵螺鈿硯箱 尾形光琳作

硯箱で国宝指定を受けているのは3件。鶴岡八幡宮所蔵の籬菊螺鈿蒔絵硯箱以外は東博が所蔵している。 古来の中国では文人が書斎で用いる道具のうち、筆、墨、硯、紙の4種を特別視して四宝としてきた。なので、それらを仕舞うための箱は教養の高い図柄である…

【東博150年】片輪車蒔絵螺鈿手箱

片輪車蒔絵螺鈿手箱は平安時代の作品。片輪車螺鈿手箱に比べると派手な箱である。 こちらの作品はパターン化した図案ではなく、手仕事感が残るデザインとなっている。蓋は被せるだけのタイプとなっている。同じ主題のデザインの国宝手箱ではあるが、時代によ…

【東博150年】片輪車螺鈿手箱

国宝の手箱は6件ある。その内2件が東博所有となっている。(そのほかは、畠山記念館の蝶螺鈿蒔絵手箱、サントリー美術館の浮線綾螺鈿蒔絵手箱、三嶋大社の梅蒔絵手箱、出雲大社の秋野鹿蒔絵手箱) 片輪車螺鈿手箱は鎌倉時代の作品で、漆を塗った表面に金粉…

金銅宝相華文磬 瀧谷寺

えちぜん鉄道の三国港駅は東尋坊へ行く一番近い駅である。駅からバスで行けるのだが、もう一つ手前の三国駅からもバスが出ている。国宝の磬を保有する瀧谷寺は三国駅から歩いて10分程度で行くことが出来る。これだけ近いにも関わらず訪問者は少なかった。そ…

梵鐘  劔神社

2024年春の開業を目指して急ピッチで工事が進む北陸新幹線の金沢~敦賀区間。その内で福井~敦賀間で唯一存在する駅の名称が越前たけふに決まった。新幹線開通で、武生の町は盛り上がるはずだ。その人混みが到来する前に国宝を見に行った。 国宝は梵鐘で…

【東博150年】鵲尾形柄香炉

柄香炉は法会の際に僧侶が持ち香を焚く仏具。真鍮製で全面に金メッキがされていて、飛鳥時代に作られたものとは思えない輝きが残っている。火炉の縁裏に上宮という針書き、柄の裏に慧慈という朱書きがあり聖徳太子関連の香炉とされている。 レア★☆☆観たい★☆☆…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。