国宝を観る

国の宝を観賞していくサイト

国宝を楽しむため、いろいろ書いています。 勉強不足でも観れば分かる。それが国宝だ。

観た

曜変天目 (稲葉天目) 静嘉堂文庫美術館

静嘉堂文庫美術館が静嘉堂@丸の内として明治生命館へ移って1周年を記念した展示会が開かれている。「二つの頂―宋磁と清朝官窯」と題して、中国史上で陶器の名品が数多く作られた2つの時期に(磁器だけに)スポットを当てた内容だった。 第一、第二展示室に…

小桜韋威鎧 兜 大袖付 菅田天神社

御嶽神社で平安末期の武士の名残りを見た後、河内源氏の源新羅三郎義光の時代のものを見に行く。 山梨県甲州市塩山にある菅田天神社の国宝・小桜韋威鎧は見る機会がとにかく不規則で短期間となっている。おまけに天候によっては公開が中止されるため非常にチ…

円文螺鈿鏡鞍 武蔵御嶽神社

武蔵御嶽神社の奥之院まで行くことは時間的に難しかった。そのため遠くから拝もうと山を臨むと紅葉で色づいた山肌(写真)が見えた。急に寒くなったが木々は敏感に反応していた。 さて、宝物殿の続き、2階に国宝の赤糸威鎧 兜・大袖付が中央にあったが、階…

赤糸威鎧 兜・大袖付 武蔵御嶽神社

2023年10月22日(日)9時半から11時にかけて山梨県の菅田天神社で小桜韋威鎧が公開されると知った。その前日、21日に中央線の高尾ー八王子間が夜にグリーン車導入に伴う線路切替工事が行われるとのアナウンスがあった。もしも、工事がうまくいかず山梨ま…

遺偈 清拙正澄筆 常盤山文庫

やまと絵展を見た後、東洋館へ行く。こちらの8室では創立80周年を記念した常盤山文庫の名宝展が開催されていた。前後期で入れ替えがあり、常盤山文庫の国宝・重文クラスを惜しげもなく展示していた。そして、そのすべてが撮影OK。なかなかない機会だが、見た…

【やまと絵】観楓図屏風 狩野秀頼筆 東京国立博物館

やまと絵展では受け継がれる王朝の美と副題がついている。武士政権の王位(厳密に言うと征夷大将軍職)が変遷するなかで、鎌倉期のマッチョな彫刻や室町期の水墨画など流行は変われど、王道絵画はやまと絵であった。戦国時代の下剋上では王道への憧れから、…

【やまと絵】平治物語絵巻 六波羅行幸巻 東京国立博物館

東博の平成館での特別展の場合、第一展示場と第二展示場の間(1階入り口から上がった2階のちょうど反対側)がグッツ売り場となる。いつも気になって見るのだが、出来の良いぬいぐるみが結構出ていた。人気キャラクターとのコラボぬいぐるみもあったが、や…

【やまと絵】伴大納言絵巻 出光美術館

大陸から伝わったとされる絵画技法。高松塚古墳などに見られる型は明らかにそれと分かる描きようである。それが、宗教儀式として現地へ行けない代わりに屏風へにしたり、聖徳太子絵伝のように国内で発生した事象を絵にすることでオリジナルな描き方へと変化…

【やまと絵】山水屛風 神護寺・京博

早いもので東博150周年展から1年が経った。周年記念展示会で気合いの入った内容だっただけに、翌年の秋展の企画者はプレッシャーがかかったことだろう。そんな素人考えが杞憂に終わる企画がやまと絵展だ。全国各地のやまと絵の一級品が東博に集合したと言っ…

禅院額字幷牌字 東福寺

東博の展示会場では大人気だった通天橋から臨む紅葉の風景。手前に欄干を設けて橋にいるように撮影できるディスプレイになっていた。ただ、ここは京博。しかも秋開催。本物を見に行くことが気軽にできる。写真も良いが実物が一番だ。ただ、ピーク時にはすご…

義楚六帖 東福寺

東福寺展で展示していた仏手は写真OKで映える展示物だった。これは今は無き京都大仏の遺物で、東福寺内に安置しているが普段は非公開のものである。金箔がだいぶ残っていることから、奈良の大仏同様、出来た当時はキンキラキンだったことが想像できる。なお…

太平御覧 東福寺

東福寺展では1階の出入り口付近の展示物のみ撮影が許されていた。写真の右側の蓮弁はいまは失われている京都の大仏が乗っていた台座の装飾物。左は釈迦如来で一般的な寺院にある大きさの仏像である。対比すると蓮弁がかなり巨大であることが分かる。蓮弁は…

無準師範像 自賛 東福寺

東博の春の特別展だった東福寺展がこの秋に巡回展として京博で開催されている。東福寺は京都・東山の南にあり、京博の最寄り駅・京阪の七条駅から南へ一駅と非常に近い臨済宗の大本山である。境内はそこそこ広く、国宝の三門は時代劇でも背景に使われるぐら…

御影堂 知恩院

来年開催の展示会発表で浄土宗開宗記念の展示会の発表があった。いずれも国立博物館で春が東京、秋が京都、年が明けて再来年に九州で開催される(天台宗の展示会と同じ規模)。今年の前半にたくさん展示会で見た親鸞の師匠であたる法然上人が起こした宗派な…

古事記 宝生院

公立の美術館や博物館のリニューアルが続いている。横浜みなみみらいにある横浜美術館は2021年から始まり来年再開予定。大阪市立東洋陶磁美術館は22年2月から始まり、こちらも来年春再開予定。天王寺にある大阪市立美術館も昨年からリニューアル工事に入っ…

本殿 春日大社

春日大社の六社寺拝観の特典は御本殿特別参拝だ。これにポストカードがついてきた。この特別参拝は以前に体験していて、回廊を歩くものである。御蓋山浮雲峰遙拝所や、万燈籠再現した藤浪之屋など、一度は見ておきたい内容である。 春日大社の御本殿特別参拝…

金銅燈籠 興福寺

興福寺国宝館の豪華な彫刻群に埋もれて見逃しがちなのが金銅燈籠だ。 入り口から真っすぐ行き、ドン付きの左側にひっそりと国宝の燈篭がある。ちょうど奥ばった目立たない隠れた位置にある。もともとは南円堂の正面に置かれていたもので、南円堂創建当初の唯…

木造天燈鬼・龍燈鬼立像 興福寺

遅くなったが、ユネスコ世界遺産登録25周年記念で発売された古都奈良の文化財を堪能できる六社寺共通拝観券をゲットした。直接購入が奈良の観光案内所と東京のアンテナショップだけで、宿泊施設などでも予約購入可能だが泊まる機会はないので奈良市内まで…

金剛般若経開題残巻 空海筆 京都国立博物館

平成館のレストラン側の出入り口から庭園へ抜けると石垣があった。平成館がゆるやかな斜面に建っていることは七条駅から正面玄関までの道中で何度も足で体感していたが、目に見える形では斜面を石垣で補正して建てられていることを初めて知った。これはこの…

真草千字文 伝智永筆

コロナ禍の影響で京博平成館のレストランが閉店していた。昨年のことだったようだ。お客が入っている時は覗くのためらっていたレストランから見える庭。閉店しているので平成館西の出入り口から見ると十三重石塔が展示されていた。京博の敷地内にはいろいろ…

華厳宗祖師絵伝 高山寺

9月のシルバーウィークの3連休。京博で開催している名品展の後期の最後に滑り込みで行くことが出来た。 すでに、3階は閉館、1階も日中書の名品を展示している2室以外は閉鎖されていた。すでに東福寺展モードの京博だが、見ておきたい国宝があった。 2階の…

経蔵 安国寺

安国寺の経蔵は飛騨高山にある国宝建築である。最寄り駅は、観光地の高山駅や、アニメ映画で一世を風靡した「君の名は」のロケ地である飛騨古川駅でなく、飛騨国府駅だ。国宝を観るためでなければ降り立つことはなかった。 飛騨国府駅から安国寺までの交通手…

仏殿、法堂、山門 瑞龍寺

高岡市の中心部へ戻って歩いて瑞龍寺へ行く。駅からは十数分と意外と近かった。 この寺院はシンメトリーな伽藍配置が俯瞰せずとも見て取れる。山門と仏殿、法堂が一直線に並ぶ。仏殿を真ん中から少し法堂よりに配置し、山門と法堂をつなぐ回廊で仏殿を囲む。…

本堂、大広間及び式台 勝興寺

昨年10月に文化審議会が国宝指定を文部科学大臣に答申した勝興寺へ行ってきた。富山県の国宝は瑞龍寺に続いて2件目である。 開通から8年経った北陸新幹線の新高岡駅から城端線で一駅で高岡駅に着く。そこからJR氷見線に乗り変えること十数分。最寄りとな…

徽宗文集序 高宗筆 文化庁

天皇自筆の文書を宸翰と言う。中国の皇帝自筆はなんと言うのだろう。そのような疑問を持ちつつ、南宋初代皇帝である高宗筆・徽宗文集序を眺める。 南宋の初代皇帝という肩書を見ると下剋上的な活躍があったようにも思えるが、金軍侵攻で父である徽宗をはじめ…

漢書楊雄伝第五十七 京都国立博物館

菩薩処胎経巻が東晋の竺仏念によって訳された。 それより古いことが書かれているのが漢書である。中国の歴史が詳しく(決して正しくではない)伝わっているのは歴史書を編纂し、残しているためでこの点は素晴らしい文化である。 今回の展示で出品されている…

菩薩処胎経巻第二 知恩院

日中の書の名品と題された企画展だが、すでに中国では失われてしまい日本に伝来した古写経によってのみ知ることが出来るものがある。知恩院の菩薩処胎経はすでに大陸では失われた経典で、奥書に西魏大統16年(550年)と記されていることから、伝来してきた裏…

書巻(本能寺切) 藤原行成筆 本能寺

墨書は紙に書かれるため、保管方法によってはぼろぼろになる可能性がある。崩れいく紙に対しては裏打ちなどして補修することで文化財として保管に耐えうるようにする。本能寺切はかなり傷みが激しいが補修でなんとか耐えていた。虫食い状態の文字もあるが判…

日本書紀巻第二十四(岩崎本) 京都国立博物館

日中書の名品と題して京博で開催している企画展ではあるが、中国文化を受けた写本や拓本が多く出品されている。そしてようやく日本オリジナルの内容が登場した。 日本書紀は古事記と並び、奈良時代に編纂された日本神話や古代の歴史を伝えている歴史書である…

新撰類林抄巻残巻 伝空海筆 京都国立博物館

新撰類林抄は詩人の作をテーマごとに分けた詩集である。三筆の一人、空海が書いたとして箔をつけることがあるが新撰類林抄巻もその部類で、空海の筆さばきとは違う。とはいえ、平安時代初期に写されたもので、筆跡はすべて唐様の草書体で書かれている。収録…

国宝拝観者たちの夢、それは千件越え。 毎年、国宝指定数が増えているので、容易にはなってきているものの、一つの目標である。 900件を超えた辺りから新規の拝見ペースが落ちているが、果たしていつ達成なるか。