京都・東山にある泉屋博古館は住友家が集めた美術品を展示している。東京の六本木に分室もあり、京都と東京それぞれで特徴のある展示を行っている。
今回は仏教美術展ということで、同博物館所有の国宝、線刻釈迦三尊等鏡像の展示があり見に行く。展示は特別展を毎回開催している別棟で、その会場の入り口近くに展示している。順路に従うと迂回した最後の展示物になるが、人が少ない場合は一番に見てほしい。
なぜならば、鑑の裏側がとてもよいからである。展示順路に沿うと最初に鑑部分に線で刻んだ釈迦如来三尊と前衛に仏像が並べて描かれているものを見ることになる。しかし、これは鑑が完成した後に描かれたものであるはずなので、無垢の鏡としてのよさが分かる裏面から見ることをお勧めする。裏面の文様の凹凸がくっきりしていて、外区の唐草と蝶、内区の花と鳥とてもよい出来である。同博物館・本館に展示している古代中国の青銅器や鑑の展示は質量ともに素晴らしい。時代が違うにしてもそれらと見比べることで、この鑑出来のよさを味わうことができるもちろん、鑑部分の線刻もかなりはっきりつ描いていて、鑑としては使いづらいだろうが、仏教美術としては申し分ない。
いつも思うのだが、あれだけ充実した青銅器の展示があり常設しているにも関わらず、季節の良い時期にしか博物館自体が開いていないのがとても残念。
【おまけ】
京都国立近代美術館で行われていた東山魁夷展を見た後、綺麗な虹がかかる。京都市博物館が工事中なのが残念だが、金戒光明寺から東山に架かった虹が大鳥居とコラボした風景を観たおじさんが「いま見た魁夷の絵よりいい」と一言。名人の絵画も自然が起こす奇跡には勝てないということだ。